爬虫類ショップの見かた|20年通って分かった、直感より先に確認できること

爬虫類ショップの棚に並ぶガラスケージと、種名や価格を書いた札 飼育の基本

爬虫類を飼い始めて20年。そのあいだに訪れたショップはたくさんあります。

「ここなら安心して迎えられる」と感じる店とそうでない店の違いは、入った瞬間にだいたい分かるようになりました。

ただ、これを「入った瞬間に分かります」と書いて終わらせると、何の役にも立ちません。初めて行く人には使えない判断方法だからです。私も最初はどの店が良いのか全然分かりませんでした。

なので、初回でも確認できることから順に書きます。最初の2つは直感ではありません。

先に:法律で決まっていること

これは飼い始めてしばらくしてから知りました。知っていたら、最初の店選びはもっと楽でした。

哺乳類・鳥類・爬虫類を販売する店には、売るときに2つの義務があります(事業者間の取引を除く小売の場合)。

現物確認その事業所で、動物の現在の状態を直接見せること。カメラや動画では現物確認になりません
対面説明18項目の重要事項を、対面で文書を用いて説明すること

東京都の動物の販売についての案内に、対象が「動物(哺乳類、鳥類、爬虫類)」であること、その事業所で行う必要があることが書かれています。

もうひとつ、壁を見れば分かることがあります。環境省のパンフレット「飼う前も、飼ってからも考えよう」によると、販売業者は都道府県等に登録したうえで、店の見やすいところに「第一種動物取扱業者標識」を掲示する義務があります。書かれているのは次のような項目です。

  • 販売業者の氏名または名称
  • 登録番号
  • 登録年月日と有効期限の末日
  • 動物取扱責任者の氏名

全部で8項目です。入ってすぐ、これが貼ってあるかどうかは誰にでも確認できます。有効期限が切れていないかも、その場で読めます。

同じパンフレット(上記)には、対面説明について「説明を受けた購入者の署名が必要」とも書かれています。署名を求められずに売られそうになったら、手順が省かれているということです。

そして18項目の3番目が「平均寿命などの飼養期間の情報」です。環境省の対面説明が必要な18項目に一覧があります。ほかに、性成熟したときの体の大きさ、飼養施設の構造と規模、給餌・給水の方法、かかりやすい病気と予防法、性別の判定結果、生年月日、病歴なども入っています。

18項目のうち、その場で聞けば分かるもの

18項目を全部覚える必要はありません。答えられるかどうかで店が分かるのは、この6つです。

聞くこと答えられない店は
平均寿命は何年ですか説明義務の3番目。ここが曖昧なら手順を省いています
大人になると何cmくらいですか2番目の項目。ケージのサイズが決まりません
生年月日は分かりますか12番目。繁殖個体なら分かるはずです
オスメスはどちらですか11番目。判定結果を伝える義務があります
この子は何を食べていましたか5番目(給餌の方法)。迎えた直後に直接効きます
病歴はありますか16番目。言いにくいことを言えるかが出ます

5番目は特に大事でした。うちはイベントで「この子は何を食べていたか」を聞けたおかげで、迎えた直後につまずかずに済みました。

⚠ ここが初回でも使える基準になります

店の雰囲気が分からなくても、この説明をきちんとやるかどうかは見れば分かります。

  • 何年生きるかの説明がないまま売ろうとする
  • どれくらいの大きさになるかを聞いても曖昧
  • 文書を出さずに口頭だけで済ませようとする

これは「感じが悪い」ではなく、義務が果たされていないということです。逆に、聞いてもいないのに寿命と成体サイズの話から始める店は、それだけで信用できます。

入った瞬間に見ているもの

爬虫類ショップの店内。ケージが棚に並び、それぞれに照明がついている

ここからが、20年かけて身についたほうの話です。

あるお店に入ったとき、最初に感じたのは匂いでした。湿気を含んだ植物のような、温室に入ったときのような空気。照明が柔らかくて、熱気も強すぎない。「あ、ここは大丈夫そう」と直感的に思えたのを今でも覚えています。

一方で、別の店は入った瞬間に違和感がありました。

  • 水入れが空のケージがあった
  • 照明が切れたままになっていた

悪い人たちではないと思うのですが、「ここで迎えていいのかな」という気持ちになって、その日は見送りました。

いま振り返ると、私が見ていたのは設備の良し悪しではなく、手が回っているかどうかでした。高い設備を入れていても水が切れていればそれまでだし、簡素なケージでも全部に水が入っていれば回っています。この見かたは初回でもできます。

一番効いた判断材料:個体の話をするかどうか

20年でひとつだけ挙げるなら、これです。

レオパのケージを見ていたとき、スタッフの方がこう言いました。

あの子、目が合うと尻尾を小さく振るクセがあるんですよ。きっとあなたにもやると思います

実際その通りの反応を見たとき、この人は本当にこの子を見ているんだと思いました。

種類の説明は、本やネットにも書いてあります。でも「この個体のクセ」は、毎日見ている人にしか言えません。しかもそれが当たっていた。

別のときには「今日は珍しくこの子、朝から外に出てたんですよ」と言われました。これも同じです。「今日は」と言えるということは、昨日までを見ているということです。

個体の話が出てくる店は、個体を見ています。種類の話しか出てこない店は、在庫を見ています。これは初めて行った日でも分かります。

手のひらに乗ったレオパードゲッコー

売らない店だった

同じときに言われた言葉がもうひとつあります。

今日は見るだけにして

そして20年通い続けている店では、最初に迎えたレオパの前に立ったとき、こう言われました。

この子は状態がすごくいいんですけど、環境が整ってからお迎えに来てくださいね

その一言で、安心してじっくり準備を整える決心がつきました。

どちらも、その日は売らなかったということです。売ることより、その子が行く先を先に考えている。これが20年通っている理由の始まりでした。

あとから知ったのですが、これは店の親切というだけの話でもありません。環境省の家庭動物等の飼養及び保管に関する基準にも、飼おうとする者は将来にわたる飼養の可能性を、住宅環境や家族構成の変化、動物の寿命も考慮に入れて慎重に判断するよう努めると書かれています。あの店員さんは、それを先に言ってくれていました。

20年のあいだに何が起きたかは、寿命と長期飼育の記事に書いています。

通い続ける理由は、迎えたあとにある

爬虫類ショップの棚に並ぶガラスケージと、種名や価格を書いた札

店選びの話は迎えるまでで終わりがちですが、実際に効いてくるのはそのあとでした。

季節の変わり目の相談。調子が気になるときの話し相手。20年のあいだ、ずっとお世話になっています。

一番ありがたいのは、スタッフ自身の体験を話してくれることです。

うちの子も最初の冬は食が落ちたんですけど、こうやって慣らしました

こういう話は、どんな情報よりも参考になります。検索して出てくるのは一般論ですが、これは実際にやってうまくいった話です。しかも、うちの環境を知っている人が言っています。

だから店を選ぶときは、「この子を買う店」ではなく「10年以上つき合う相談先」として見たほうがいいと思っています。爬虫類は長く生きます。買った日より、そのあとのほうがずっと長い。

初めて行く人へ

「何を見ればいいか分からない」という気持ちはよく分かります。私もそうでした。やることを順番に書きます。

  • 「今日は見るだけ」で行く。その日に決めない前提にしておくと、落ち着いて見られます
  • ケージを一通り見て、水入れが空のものがないか確認する
  • 気になる個体について質問してみる。種類の説明が返ってくるか、その子の話が返ってくるかを聞く
  • 寿命と成体の大きさを聞く。説明義務のある18項目のうちの2つです。ここが曖昧な店は避けていい
  • 入った瞬間に「なんか違う」と思ったら、その感覚も残しておく

衝動的に迎えて後悔することもあります。準備が整わないまま連れて帰っても、その子にとって良くない。良い店のスタッフは、そういうことをちゃんと言ってくれます。

行く前に何をそろえておけばいいかは、レオパのお迎えの記事に書いています。

最初のショップ選びは、長い飼育生活の起点です。焦らず、何度か足を運んでください。