子どもが爬虫類を飼いたいと言ったとき|親として聞いたのは「死んだときどうするか」でした

子どもが飼いたいと言ったとき(親として聞いたこと) 飼育の基本

爬虫類を20年以上飼っています。

あるとき息子が、職場に連れていったレオパを見て「これ、恐竜みたい。かっこいい」と言いました。ガラス越しにじっと見つめて、しばらく動きませんでした。

親として最初に思ったのは「嬉しい」ではなく、「本気かな」でした。

爬虫類は見た目のインパクトがあるので、その場の興奮で「飼いたい」と言う子は多いです。でも実際に世話をし続けるのは別の話です。

心配したのは、生き物のほうではありませんでした

ケージの中のレオパードゲッコー

私は爬虫類に慣れているので、生き物そのものへの不安はありませんでした。心配は2つです。

続けられるか餌やりは週に数回でいいとしても、毎日ケージを覗いて状態を確認する習慣が要ります
死に向き合えるか私は何度か経験してきましたが、子どもにとってはどうだろうと思いました

「飼いたい」という気持ちの裏に、そういう覚悟があるかどうか。一度ちゃんと話そうと思いました。

「いいよ」とも「ダメ」とも言わずに、一緒に調べた

その場で答えを出しませんでした。代わりに「一緒に調べてみよう」と提案しました。

  • 休日に図書館へ行って、飼育本を何冊か借りた
  • 爬虫類カフェに行って、実際に触ってみた
  • どんな準備が必要かを、二人でリストにした
  • 飼育にかかる費用も一緒に調べた

息子は最初、本のページをめくるだけでした。レオパのページで手が止まりました。

この進め方にしたのには理由があります。「ダメ」と言えばそこで終わり、「いいよ」と言えば考える機会がなくなるからです。調べる時間そのものが、本気かどうかを測る時間になりました。

カフェに行ったのも大きかったです。重さと体温は、触らないと分かりません。何を確かめに行くかは爬虫類カフェの記事に書きました。

一番聞きたかったのは「死んだときどうするか」でした

調べたことをもとに、家族で話し合いました。

私が一番聞きたかったのは、「毎日世話できるか」ではありません。それは聞けば誰でも「できる」と答えます。

聞いたのは「生き物が死んだとき、どうするか」でした。

息子はしばらく黙っていて、こう言いました。

悲しい。でも、それでも飼いたい

その答えで十分でした。「悲しくない」でも「大丈夫」でもなく、黙ってから出てきた言葉だったのが大きかったと思います。

レオパは長く生きます。寿命の記事にも書きましたが、迎えるときの子どもの年齢と、見送るときの年齢はまったく違います。そこまで含めて一度話しておく価値はありました。

役割を分けました

担当
餌やり息子
毎日の観察息子
環境のチェック私が一緒にやる
器具のメンテナンス私が一緒にやる

この分け方にしたのは、失敗したときの重さが違うからです。

餌を1回忘れても、あとで気づけば取り返せます。でも保温器具が止まっていたり、温度設定がずれていたりすると、数日で取り返しがつかなくなります。そこは子どもに任せませんでした。

任せたのは「毎日やること」、引き受けたのは「間違えると命に関わること」。この線で分けると、子どもに責任を持たせることと、生き物を守ることが両立します。

⚠ 迎える前に、手洗いだけは先に教えてください

これは大人が必ず押さえるところです。

厚生労働省のカメ等のハ虫類を原因とするサルモネラ症に係る注意喚起(平成25年8月12日・健康局結核感染症課)に、こう書かれています。

カメ等のハ虫類については、国内外を問わず、多くのもの(50〜90%)がサルモネラ属菌を保有しており

感染すると胃腸炎症状、まれに菌血症や髄膜炎等の重篤な症状を引き起こす場合があるとされ、新生児や乳児、高齢者など免疫機能の低い人では重症化しやすいと書かれています。

健康な個体も持っています。汚れているからではありません。

  • 触ったあとは石けんで手を洗う
  • 洗う前に、口や食べ物に触らない
  • 小さいうちは、洗ったかどうかを大人が確認する
  • 水まわりの世話をするときは、食品や食器を扱う流し台を避ける

西宮市の案内では、新生児や乳児、高齢者など免疫能力の低い人がいる家庭では、は虫類の飼育を控えるよう案内されています(サルモネラ症の予防について)。小さなきょうだいがいる家庭は、ここを先に考えてください。

世話のルールに「手を洗う」を最初から入れておけば、それで済みます。あとから足すより、最初に入れるほうが定着します。

興味が責任感に変わるまで、1か月でした

レオパードゲッコーの飼育ケージの様子

迎えてからの変化です。

最初の頃「今日餌やった?」と声をかけないといけないことがあった
1か月ほど経つと自分からケージを覗くようになった
その頃から飼育本を自分で読み返すようになった。私に聞く前に、まず自分で調べる

「今日はあんまり動いてない」「昨日より元気そう」と、観察したことを話してくれるようになりました。

ここが一番うれしかったところです。餌をやるのは作業ですが、「昨日と違う」と言えるのは、昨日を見ているということだからです。

職場で見た、親子の会話

職場には子ども連れのお客さんも多くて、爬虫類を見て「飼いたい!」と言う子に出会うことがよくあります。

あるとき、お母さんがこう話してくれました。

私は正直ちょっと苦手なんですけど、この子がちゃんと責任を持てるなら応援したいと思って

隣で子どもがレオパをじっと見ていました。苦手でも子どもの気持ちを受け止めようとしている。その姿勢が子どもの自信になるんだと思います。

別の日には、お父さんが「俺も子どもの頃トカゲ飼ってたんだよ」と言いながら、子どもと一緒にケージを覗いている場面もありました。

やったのは、4つだけでした

  1. その場で「いいよ」とも「ダメ」とも言わない
  2. 一緒に調べる(図書館・カフェ・費用)
  3. 「死んだときどうするか」を聞く
  4. 役割を分ける(毎日やることは子ども、命に関わることは大人)

特別なことはしていません。「飼いたい」をすぐに否定せず、一緒に調べて、話し合って、役割を決めた。それだけです。