ある日、小学3年生の息子が「レオパードゲッコーを飼いたい!」と言い出しました。正直、最初は戸惑いました。犬や猫と違い、爬虫類は私にとって未知の存在。どうやって世話をするのか、家族で話し合いながら調べ始めたのがきっかけでした。
すぐに「ダメ」と決めるのはもったいないかもしれません。興味のきっかけをどう扱うかで、子どもの学び方は変わります。
この記事では、子どもが爬虫類に興味を持つ理由や、親として知っておきたいこと、実際に飼う場合のポイントについてわかりやすくまとめました。
子どもと爬虫類:なぜ惹かれるのか?
息子が「恐竜みたいでかっこいい!」と目を輝かせていたのが印象的でした。普段の生活では見かけない生き物に、子どもは強く惹かれるようです。私自身も、子どもの頃にカナヘビを捕まえてきては、どうやって世話をするか悩んだ記憶があります。
つるんとした肌、ゆっくりした動き、時折見せる素早さ。こうした特徴は、大人にとっては地味に思えても、子どもには「まるで小さな恐竜」のように映ることもあります。
実際、私の職場では爬虫類を飼育しているのですが、親に連れられてきた子どもが「これ飼いたい!」と目を輝かせる場面によく出会います。
そんな時は、子どもの目線に寄り添いながら、実際に飼うにはどんな準備がいるのか、親子で一緒に考えてもらえるようサポートしています。単なる興味ではなく、「ちゃんと育てられるか?」という意識に変わっていく過程は、子どもにとって大きな成長の機会でもあります。
爬虫類は飼っている人がまだ少ないことから、「自分だけの特別な存在」という気持ちを持ちやすく、子どもにとっては誇らしさや自立心につながることも。親としては驚くかもしれませんが、その関心の裏には、自分なりに挑戦したいという思いが隠れているのかもしれません。
爬虫類を飼うには・・・
犬や猫とは異なる環境づくりが必要です。温度・湿度・紫外線ライトの管理など、見た目の静かさとは裏腹に、飼育環境のコントロールがとても重要です。
例えばヒョウモントカゲモドキなどは夜行性なので、昼と夜の温度差を意識した温度管理が必要になりますし、紫外線ライトを使う種類では、照射時間や距離にも配慮が必要です。
また、脱走のリスクや衛生面にも注意が必要です。ケージのフタがしっかり閉まっていなかったことで部屋の中を探し回ることになったり、床材の掃除を怠ってカビやダニが発生したりといったトラブルも起こり得ます。
子どもが飼いたいと思っていても、最終的には大人がしっかりと日々の状態をチェックする責任があることを忘れてはいけません。
費用についても、初期費用に加えて、ライトの交換や温度管理機器、餌代、定期的な消耗品など、思っているよりもランニングコストがかかることがあります。
「買って終わり」ではなく、「長く世話をする」意識を持てるよう、事前に親子で一緒に情報を調べておくことが大切です。
子どもの年齢別アドバイス
わが家では、まず金魚やカブトムシなど、身近な生き物から飼育を始めました。幼児期は親のサポートが不可欠ですが、小学校高学年になると、息子は自分で餌やりやケージの掃除を担当できるようになりました。中学生になった今では、爬虫類の飼育本を自分で読み、温度管理や餌の種類まで調べてくれます。
幼児〜小学校低学年(〜8歳くらい)
この時期は、生き物への興味が芽生えるタイミング。私自身、小学校1年生のときに金魚を飼っていました。餌をあげるのは私の役目でしたが、大掛かりな水換えや掃除などは親がやってくれていました。
また、カナヘビやカタツムリを捕まえてきて、どうしていいかわからないまま1週間ほどで庭に返した経験もあります。子どもにとって「飼う」ということが何を意味するのか、まだはっきりしていない年齢だからこそ、親のフォローが不可欠です。失敗もまた学びとして受け止めてあげることが大切です。
小学校高学年(9〜12歳)
この頃になると、簡単な飼育作業を自分でこなせるようになります。私の場合は3年生でカメを飼い始め、餌やりや水替えを自分で担当していました。
さらに、犬を飼ったときには、学校で習った木工の知識を使って、自分で犬小屋を作ったこともあります。木材を買ってきて、のこぎりや金づちを使いながら仕上げたその経験は、今思うと大きな自信につながっていた気がします。
生き物の世話を通して、責任感や創意工夫を育む時期です。親は見守りつつ、必要な部分で手助けする役割に回るのが理想です。
中学生以上(13歳〜)
中学生になると自分で調べたり、日々の管理を継続したりと、飼育の大半を本人に任せられる時期になります。より複雑な飼育にも取り組めるようになります。
私はこの頃に熱帯魚の飼育を始め、フィルターの選び方、水温管理、餌の種類などを自分で調べて環境を整えました。
飼育を通して、情報を集めて考え、試してみるという姿勢が自然と身につきます。親は全面的に任せるというより、見守りながら一緒に振り返る関係でいると、命への向き合い方をさらに深められます。
初心者にも安心な種類とNGな種類
子どもが爬虫類を飼いたいと言ったとき、まず気になるのが「どんな種類なら安心して飼えるのか」という点です。すべての爬虫類が家庭で飼育しやすいわけではなく、初心者に向いている種類と、避けたほうがよい種類があります。
初心者でも安心な種類
実際に飼ってみて感じたのは、レオパードゲッコーはとても穏やかで、初心者でも扱いやすいことです。夜行性なので、夜勤の私が帰宅したときにも活動していて、親子で観察を楽しめました。
レオパは昼間は静かに過ごし、攻撃性も低く、人にも慣れやすい種類です。
また、「フトアゴヒゲトカゲ」も人気があります。日中に活動するため観察しやすく、比較的温厚な性格で、餌も人工飼料で対応しやすい場合があります。
どちらも温度・紫外線などの環境管理は必要ですが、情報が多く、初心者向けの飼育セットも充実しています。
初心者にはおすすめしない種類
一方で、グリーンイグアナのような大型種は、成長後のサイズや力が想像以上で、飼育環境を整えるのが難しいため、初心者には難しいと実感しました。
また、一部のヤモリやカメレオンなどはストレスに弱く、環境の変化で体調を崩しやすい傾向があります。さらに、特定動物に指定されている種類は許可が必要で、一般家庭での飼育は難しい場合もあるので注意が必要です。
生き物選びは、見た目の好みだけでなく、飼いやすさ・安全性・継続可能性の3つを意識して選ぶことが大切です。
種類 | 理由 | |
初心者も安心 | ヒョウモントカゲモドキ フトアゴヒゲトカゲ |
攻撃性が低く人になれやすい 温厚な性格、情報が多い |
初心者は難しい | イグアナ、ニシキヘビ カメレオン |
成長後のサイズが大きく力が強い ストレスに弱く体調を崩しやすい |
親としての心構え:ただ「ダメ」という前に
子どもから「爬虫類を飼いたい」と言われたとき、最初は「本当に世話できるの?」と心配でしたが、息子と一緒に飼育方法を調べたり、実際に爬虫類カフェに足を運んだりしました。
見慣れない生き物への不安、衛生面、飼育の難しさなど、心配ごとはいくつもあるでしょう。でも、そこで一度立ち止まって、「なぜ飼いたいと思ったのか?」を丁寧に聞いてみることが大切です。
家族で話し合いを重ねるうちに、息子の「どうしても飼いたい」という気持ちが本物だと分かり、最終的に家族全員で迎え入れる決断をしました。
子どもが自分なりに「こうしたい」「やってみたい」という気持ちを言葉にする機会が少ないもの。そこで話を遮らずに耳を傾けるだけでも、親子の信頼関係はぐっと深まります。
実際、私の職場に来た、あるお母さんは、「私は正直ちょっと苦手だけど、この子がちゃんと責任を持てるなら応援したい」と話してくれました。その言葉がすごく印象的で、親の姿勢が子どもの自信につながる瞬間だと感じました。
そして、その上で一緒に調べてみたり、飼育している人の話を聞いたりすることで、子どもの気持ちが「本気」なのか「一時的な興味」なのかも見えてきます。
もし実際に飼うことが難しいと判断したとしても、その理由をしっかり説明し、代わりに動物園や爬虫類カフェに連れて行くなど、「関心を受け止める姿勢」を見せるだけで、子どもにとっては大きな安心になります。
大切なのは、答えがYESでもNOでも、その過程で「親が自分の話を聞いてくれた」という実感を持たせることです。命と向き合う話だからこそ、親の姿勢そのものが、子どもの価値観に強く影響します。
まとめ:爬虫類飼育は、親子の対話を深める入口に
子どもが「爬虫類を飼いたい」と言ったとき、その言葉の奥には、単なる興味だけでなく、自分なりに何かに関わってみたいという前向きな気持ちが隠れていることがあります。
飼うかどうか悩んだ時間も、家族にとっては大切な思い出になりました。生き物の世話を通じて、息子は責任感や工夫する力を身につけ、私自身も新しい世界を知るきっかけになりました。親子で一緒に調べ、話し合い、挑戦することの大切さを実感しています。
爬虫類の飼育には環境づくりや管理の手間がかかりますが、それは決してマイナスな面だけではありません。命と向き合う責任や継続する力、工夫する姿勢など、さまざまな学びを含んでいます。
実際に飼うかどうかよりも、「一緒に調べて、話し合って、選んでいく」ことそのものが、子どもにとってかけがえのない経験になります。親子で対話するきっかけとして、爬虫類の話題を前向きに活かしていけたら素敵ですね。
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