フトアゴヒゲトカゲのアダルト個体(1歳以上)にとって、健康を維持するためには適切なエサ選びと栄養バランスが欠かせません。幼体期とは異なり、アダルト期には植物中心の食事が推奨されますが、その中でも特におすすめなのが豆苗です。
この記事では、豆苗を含む栄養価の高い野菜や果物を使った食事の工夫や、アダルト個体に適した食事バランスについて詳しく解説します。さらに、我が家で実践している具体的な事例も交えながら、フトアゴヒゲトカゲを健康的に育てるためのポイントをご紹介します。
アダルト個体の食事の基本:植物中心の食事に切り替える
フトアゴヒゲトカゲは、幼体期には主に昆虫を必要としますが、アダルトになると植物中心の食事にシフトします。 これは、成長段階による栄養の必要性が変化するためです。
うちではだいたい毎日のごはんのうち、8割が野菜メインで、たまに昆虫をおやつ感覚で足しています。食事全体の2〜3回に1回だけ昆虫をあげる感じです。このバランスを保つことで、肥満を防ぎつつ必要な栄養をしっかりと与えることができます。
動物性タンパク質(昆虫など)を過剰に与えると、内臓に負担がかかる可能性があるため、 アダルト個体には植物中心の食事が推奨されています。
【アダルト個体の理想的な食事バランス】
野菜・果物 | 80% |
昆虫 | 20% |
特におすすめの野菜や果物のリスト
葉物野菜:栄養豊富で消化に優れた基本食材
葉物野菜は、フトアゴヒゲトカゲにとって理想的な主食です。 これらの野菜は、ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、鉄分などの必須栄養素が豊富に含まれており、健康維持に大いに役立ちます。また、葉物野菜は水分を多く含んでいるため、フトアゴヒゲトカゲの水分補給にも役立ちます。
我が家でよく登場する「豆苗」の魅力とは?
アダルトのフトアゴヒゲトカゲの食事において、特におすすめの葉物野菜として豆苗を取り入れることができます。
豆苗は、ビタミンやカルシウム、繊維質が豊富で、消化にも良いため安心して与えられます。うちの子も初めてあげたときから気に入っていて、少し食欲が落ちている時でも豆苗だけはよく食べてくれます。食べ物の好みにうるさい子でも、比較的受け入れられやすい野菜です。
栽培も簡単で、自宅で手軽に育てられるので、新鮮な葉物を常に用意できるのも魅力です。
具体的な与え方としては、豆苗を適度なサイズにカットし、他の葉物野菜と組み合わせて与えると良いでしょう。豆苗をメインにしつつ、他の野菜や果物とバランスよく組み合わせることで、栄養バランスの取れた食事を提供できます。
他のおすすめの葉物野菜
- 小松菜: カルシウムが豊富で、骨の健康をサポート。
- チンゲン菜: ビタミンAやCが豊富で、免疫力を高める。
- モロヘイヤ: 鉄分とビタミンAが豊富で、特に体力をつけたい時期に最適。
葉物野菜のポイント
葉物野菜は日常的に与えるのに非常に適しています。消化も良く、常に新鮮な状態で提供するよう心がけましょう。
かぼちゃ類:栄養価が高いが糖分に注意
かぼちゃ類はビタミンAとβカロテンを豊富に含んでいて、フトアゴヒゲトカゲの健康維持に役立ちます。 かぼちゃ類は糖分が多く与えすぎると肥満のリスクがあるため、適量に気をつける必要があります。
おすすめのかぼちゃ類
- ズッキーニ: 低カロリーで消化が良く、ビタミンAとCが豊富。
- カボチャ: ビタミンAやβカロテンが豊富で、目や皮膚の健康をサポート。
かぼちゃ類のポイント
かぼちゃ類は甘みが強く、フトアゴヒゲトカゲが好んで食べますが、控えめに与えることが重要です。
その他の野菜:栄養を補完する重要な食材
葉物野菜以外にも、フトアゴヒゲトカゲに適した野菜は多くあります。 特に、根菜類や鮮やかな色の野菜は、ビタミンやミネラルを補給するために効果的です。
おすすめのその他の野菜
- ニンジン: ビタミンAが豊富で、皮膚や目の健康を保つ。
- パプリカ: カラフルなパプリカはビタミンCが豊富で免疫力を高める。
- サツマイモ: 栄養価が高くエネルギー源となる、糖分が多いので少量。
その他の野菜のポイント
これらの野菜は消化しやすいように小さくカットし、食べやすい形で与えます。新鮮なものを選び、毎回適切に準備しましょう。
果物:栄養豊富だが与えすぎに注意
果物はビタミンCや抗酸化物質が豊富で、フトアゴヒゲトカゲも好んで食べる食材です。ただし、糖分が多いため与えすぎには注意が必要です。
うちでは週に1〜2回、ご褒美のような感覚で少量だけあげています。甘い香りがするせいか、特にブルーベリーは食いつきがよく、栄養価も高いので助かっています。
おすすめの果物:おすすめの果物
・リンゴ:ビタミンCが豊富。皮はむいて与えます。
・ブルーベリー:抗酸化作用があり、嗜好性が高い。
・マンゴー:ビタミンAが豊富。糖分が多いため少量でOK。
果物はデザート感覚で、野菜と組み合わせてバランスよく与えるのが理想です。
野菜や果物の与え方
うちでは野菜は全部、1cm以下に刻んでます。以前に大きめのニンジンをあげたら飲み込めなかったみたいで、それ以来ずっとこのスタイルです。
大きな塊や硬い部分は消化不良の原因となります。小さくカットし、柔らかくしてから与えると安心です。野菜や果物の皮が消化に負担をかけることがあるので、皮をむいて与えることも推奨されます。
与えるときの注意点
・果物は糖分が多いので、少量を週に1~2回
・野菜は日々の主食として与える
・消化不良を防ぐために細かく刻む
昆虫の種類と特徴:栄養バランスを意識した選び方
アダルトのフトアゴヒゲトカゲにとって、昆虫は幼体期ほど必要ではありませんが、栄養を補給のためには重要な食材です。 昆虫からはタンパク質、脂肪、ビタミンなどの栄養素を効率的に摂取できるので少量で効果的な栄養源となります。
与えすぎは肥満や内臓に負担をかける原因となるので、与える量や頻度に注意が必要です。また、昆虫の種類によって栄養価が異なります。それぞれの特徴を理解しバランスを取って与えることが大切です。
コオロギは一番おすすめ
コオロギは最も一般的な昆虫の一つで、爬虫類ショップやネットショップで手に入れることができます。 コオロギは高タンパクで消化が良く、フトアゴヒゲトカゲの成体にも適した昆虫です。
コオロギの栄養価はタンパク質が豊富
タンパク質が豊富で、フトアゴヒゲトカゲの筋肉や体力の維持に役立ちます。
冷凍コオロギの使い方は簡単
私の場合は、冷凍コオロギをストックして必要な時に与えています。冷凍庫から必要量を出して1時間ほど解凍して使っています。
活コオロギのポイント
活コオロギを使用する場合は、適切な飼育環境が重要です。環境が悪いと全滅してしまいます。足は消化に悪いので取ってから与えます。フトアゴヒゲトカゲは喜びますが、便利なのは冷凍です。
栄養価 | 高タンパク、消化が良い |
与え方 | 生体のフトアゴにも適してる |
ポイント | 冷凍は便利、活は喜ぶ 筋肉や体力維持 |
デュビアローチは高タンパク低脂肪
デュビアローチは高タンパクで脂肪分が少なく、フトアゴヒゲトカゲにとって非常に優れた栄養源です。 特に、脂肪分が控えめなので、肥満を気にするアダルト個体に適しています。
栄養価はアダルトのフトアゴヒゲトカゲにピッタリ
タンパク質が豊富で、低脂肪なため健康管理がしやすい昆虫です。
自家繁殖できるので経済的
私の家では、デュビアローチを自家繁殖しています。繁殖が容易で、常に新鮮なデュビアを供給できるので経済的です。
デュビアのポイント
デュビアローチは消化が良く、また昆虫アレルギーを起こしにくいです。成体のフトアゴヒゲトカゲに少量ずつ与えることで、バランスの取れた食事を実現できます。
栄養価 | 高タンパク、低脂肪 |
与え方 | 肥満を気にするアダルトにも適してる |
ポイント | 自家繁殖が簡単 |
シルクワームはフトアゴヒゲトカゲが好き
シルクワームは柔らかく消化が非常に良い昆虫です。 栄養価も高いため、フトアゴヒゲトカゲが特に喜んで食べる傾向にあります。
バランスの良い栄養価
タンパク質は、必須アミノ酸や脂肪もバランスよく含まれています。
シルクワームはご褒美
シルクワームは定期的に与えると良いですが、価格が高いため特別なご褒美として与えることもおすすめです。
シルクワームのポイント
シルクワームは成体のフトアゴヒゲトカゲにとって非常に消化しやすい昆虫なので、消化不良を防ぐのに役立ちます。特に体調が優れない時や、食欲が落ちている時に活用すると良いでしょう。
栄養価 | 高タンパク、消化が良い 必須アミノ酸や脂肪のバランスも良い |
与え方 | ご褒美としてあげる |
ポイント | 消化しやすいので体調が良くない時や食欲が落ちてる時も |
ミルワームは高脂肪
ミルワームはタンパク質が豊富ですが、脂肪分も多いので注意が必要です。 ミルワームは食欲が落ちている時に少量を与えることで、食欲を刺激する効果があります。
高脂肪なので与えすぎに注意
タンパク質に加えて高脂肪なため、フトアゴヒゲトカゲのエネルギー源として活用できます。好んで食べますが与えすぎに気をつけます。
ミルワームは食欲がない時に使います
通常の食事としてではなく、体調が悪い時や食欲が落ちている時に少量与えるのがおすすめです。
ミルワームのポイント
ミルワームは脂肪分が多いため常食としてではなく、エネルギーが必要な時期に限定して使用します。
昆虫を与える際には必ずカルシウムパウダーやビタミンD3をまぶして、カルシウム欠乏症にならないようにすることも大切です。
栄養価 | 高タンパク、高脂肪 |
与え方 | 体力や食欲が落ちてる時に限定的に与える |
ポイント | 脂肪分が多いので常食しない |
昆虫を与える際はサプリメントは必須
昆虫を与える際には、必ずサプリメントを活用することが重要です。 フトアゴヒゲトカゲは昆虫だけでは必要なカルシウムやビタミンD3を十分に摂取できません。栄養バランスを整えるためにサプリメントが必要です。
カルシウムパウダーは骨の強化
昆虫にまぶして与えることで、フトアゴヒゲトカゲがカルシウム欠乏症を防ぎ骨を強化できます。毎回の食事に必ず使用します。
私はジェックスのエキゾテラのカルシウムパウダーを毎回かけて与えています。
ビタミンD3はカルシウムの吸収をよくする
フトアゴヒゲトカゲはUVBライトを浴びることで体内でビタミンD3を生成します。足りない分を補助的にビタミンD3のサプリメントを与えることで補います。週に1回程度、カルシウムパウダーと一緒に与えることで栄養バランスを保つことができます。
私はジェックスのエキゾテラ、カルシウム+ビタミンD3を使っています。こちらは週に1回ほどかけて与えています。
人工フードの利点と与え方:栄養バランスを保ちながら便利な選択肢
忙しい日も安心の栄養補助食
人工フードは、忙しい日にも手軽に与えられる便利なエサで、栄養バランスも整っています。ただし、野菜や昆虫など自然な食材と組み合わせて与えることで、多様な栄養素を補いながら健康的な食事が実現できます。栄養価が高いため、与えすぎには注意し、補助的な食材として使うのが安心です。
うちでは、野菜と一緒に人工フードを出しておき、昆虫は週に1〜2回だけご褒美として与えています。
うちの子の好みに合わせた与え方
人工フードは、個体の好みに合わせて与えるのがポイントです。
うちの子は、ふやかしたフードだと舌にくっついて食べにくそうにするので、カリカリのまま置き餌にしています。
好みに合わせて、ふやかす・ふやかさないを使い分けると良いです。
健康維持には、食事だけでなく、適切な温度管理や紫外線のケアも重要です。
基本の頻度とバランス
アダルトのフトアゴヒゲトカゲには、毎日ごはんを与える必要はありません。週に3〜4回ほどの頻度で、内容のバランスに気を配ることで健康的な体型を保てます。
うちの子も2日おきくらいでごはんをあげていますが、体調は良好で、日中も元気に過ごしています。
食事は「量より質」を大切にして、1回の食事で栄養をしっかり摂れるよう心がけましょう。
野菜:週に4回、午前中がおすすめ
野菜は主食として与える重要な食材です。週4回ほど、葉物や根菜などを中心に用意すると、必要な栄養素をバランスよく摂取できます。特に午前中に与えると、フトアゴヒゲトカゲが体を温めたあとで食欲が高まり、消化もスムーズに行われやすくなります。
うちでは、葉物野菜を中心に1cm以下にカットし、朝にケージへ置いておくようにしています。
昆虫:月に2〜3回、ご褒美として
成体になったフトアゴには、日々の食事で野菜類を中心に与えるのが基本です。とくに葉物や根菜などを週4回ほど取り入れると、健康維持に効果的です。
午前中に与えると食いつきが良い傾向があります。
なぜ午前中が良いのか?
フトアゴヒゲトカゲは日中の活動が活発な昼行性の動物です。 朝にバスキングスポットで体を温めた後、午前中に食事を摂ることで消化が効率的に行われます。 そのため、野菜は朝早めに与えるのが理想的です。消化が活発に進む日中のうちに、しっかり栄養を吸収させましょう。
昆虫の与え方:月に2〜3回、量と種類に気をつける
アダルト期には植物性の食事が基本ですが、補助的に昆虫を与えることでタンパク質を補えます。
与える頻度は月に2〜3回程度でOK。運動量や体型を見ながら、10分以内で食べ切れる量を目安にしています。
うちの子は、動きが多い日は3匹ほど食べますが、静かな日には1匹で十分そうです。
体のふくらみや体重の増減を見ながら加減して与えると安心です。
野菜 | 昆虫 |
週に4回 | 月に2〜3回 |
午前中に与える | 頻度と様子を見ながら調整 |
我が家のフトアゴヒゲトカゲのご飯
うちの子は現在3歳半。アダルト個体になってからは、食事内容も幼体期とはだいぶ変わってきました。
基本は野菜中心で、豆苗やオクラを好んで食べています。特に豆苗は、初めて与えたときからずっとお気に入りです。
小松菜はあまり好まないので、代わりにニンジン、カボチャ、サツマイモなどを少量ずつミックスしています。
ブルーベリーはベランダで育てていて、落ちた実を偶然食べてから大好物になりました。
昆虫は現在、月に1〜2回だけご褒美として与えています。育てているデュビアや冷凍コオロギを、ほかの爬虫類たちの食べ残しと一緒に少しだけ。
野菜から水分を摂っているので、水皿にはあまり口をつけません。
人工フードは「GEX エキゾテラ フトアゴヒゲトカゲの健康食」と「ビバリア レップカル」をローテーションしています。
レップカルは赤・黄・緑の3色があり、うちの子は赤を最初に食べる傾向があります。GEXはフルーティーな香りがあるようで、置き餌でもちょこちょこ食べています。
なお、ふやかした人工フードは舌にくっついて食べにくそうだったので、今は乾燥状態のまま与えています。
うちの子は食が細いので、日中ずっと置き餌スタイルで、好きなタイミングで食べられるようにしています。
その日の食べ残しは、育てているデュビアのごはんに再利用して無駄なく使っています。
まとめ
フトアゴヒゲトカゲのアダルト個体は、幼体と違って植物中心の食事が基本となります。
野菜や果物を中心に与えつつ、時々、昆虫を補うことで、バランスの取れた栄養管理を行うことができます。サプリメントも使いながらバランスの良い食事を与えることで、フトアゴヒゲトカゲが健康で元気に過ごせます。
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この記事を書いた人:nakamura
フトアゴヒゲトカゲをはじめとした爬虫類やフクロモモンガを複数年飼育している愛好家。実体験をもとに、初心者でも分かりやすく飼育方法を解説中。
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