爬虫類飼育ではケージ選びと同じくらい、ケージをどこに設置するかが重要になります。限られたスペースを無理なく活用し、安全で管理しやすい環境を整えるためには、ラックを利用した配置方法が役立つ場面もあります。
ケージの置き場所によっては、温度管理のしやすさや掃除の手間、通気性などが大きく変わることがあります。「床にそのまま置いているけれど、このままで問題ないのかな…」と感じる方も少なくありません。
この記事では、長年の飼育経験をもとに、ラックを取り入れる際の考え方や選ぶときのポイントをわかりやすくまとめました。ラックを導入するか迷っている方の参考になれば幸いです。
なぜケージラックが必要なの?床置きと何が違う?
「ケージラック?なくても床に置けば大丈夫でしょ?」そう思っていませんか?私も最初はそうでした。でも、実際にケージラックで飼育してみると、爬虫類にとっても飼い主にとっても、見落としがちなデメリットがいくつもあると分かりました

床置き飼育のデメリット
床置き飼育には、一見手軽に見える反面、実際にはさまざまなデメリットが存在します。以下にそれぞれの点について詳しく解説します。
温度管理の難易度UP
床置きでは、ケージが直接外気の影響を受けやすくなります。特に冬場や夏場の極端な外気温は、ケージ内の温度を大きく変動させる可能性が高く、通常の温度管理が困難になります。
爬虫類は自身で体温を調節することができないため、適切な温度範囲から外れるとストレスを受け、健康を損なうことがあります。特に冬は床から寒さの影響を受けてしまうので、床への直置きは避けます。

床の冷え対策には「直置きを避ける+断熱材」が有効でした。
飼育スペースが狭く感じる
床にケージを置くと、その周囲が使いづらくなる場合があります。複数のケージや飼育用品が床に集まると、動線が取りにくくなり、部屋全体の使い勝手に影響が出ることがあります。
掃除のしにくさ
床置きのケージは、下や周囲に手が届きにくく、掃除がしづらいことがあります。隙間に入ったホコリや汚れが取り除きにくく、時間が経つと固まりやすい場合もあります。
このような点から、状況によってはラックを使用した方が掃除しやすい環境を整えやすくなることがあります。
・ケージが冷えやすい
・スペースの使い方が限られる
・掃除がしづらい
ケージラックを使うメリット
ケージラックを使うことで、設置環境を整えやすくなるなど、さまざまな利点が生まれます。
通気性抜群で快適空間
ラックに置くとケージ下に空間ができるため、風の通り道が確保しやすくなります。
床に直接置く場合は湿気がこもりやすいことがありますが、ラックに置くことで湿気が滞留しにくく、環境を安定させやすくなります。

温度管理の効率UP
床からの冷気の影響を受けにくくなるため、暖房器具の熱がケージに伝わりやすくなり、温度調整がしやすくなります。
冬場や冷房時でも温度差が生じにくくなり、断熱材を併用することでさらに調整しやすい環境が作れます。
飼育スペースを有効活用
ケージラックを使用すると縦方向の空間を使えるため、限られたスペースでもレイアウトが組みやすくなります。ケージが増えた際も、配置の調整がしやすく、全体の見た目も整えやすくなります。
私の場合も、ケージ数が増えたことで部屋が狭く感じるようになったためラックを導入しました。縦にスペースを使えるようになり、全体がすっきり整理できました。
掃除のしやすさ格段に向上
ラックを使用するとケージ下にスペースができるため、床置きと比べて周囲の掃除がしやすくなる傾向があります。
・通気性を確保しやすい
・温度調整がしやすい
・スペースを有効活用できる
・掃除がしやすい
失敗しないラック選定の3原則
ケージラックにはさまざまな種類があり、選択に迷うこともあります。そこで、使いやすいラックを選ぶためのポイントを3つにまとめました。
爬虫類のサイズと飼育数で決める!
まずは飼育している爬虫類のサイズや頭数に合わせて、ラックの大きさや耐荷重を確認しましょう。
小型種・単頭飼育の場合は、インテリアに馴染む木製ラックが向いています
小型の爬虫類には、場所を取りにくいコンパクトなメタルラックや木製ラックが使いやすい場合があります。
メタルラックはサイズ展開が豊富で、組み合わせによって飼育スペースに合わせやすい点が特徴です。小型種であれば十分な耐久性を保てるものが多く、取り入れやすい選択肢になります。
木製ラックは部屋に馴染みやすく、落ち着いた雰囲気をつくることができます。

中型種・多頭飼育の場合、オーダーメイドという選択肢も
中型種や多頭飼育の場合、ケージの重量に耐えられるしっかりしたスチールラックが使いやすいことがあります。市販のラックでサイズが合いにくい場合は、オーダーメイドで制作する方法もあります。
飼育数が増えると湿度管理の調整が必要になるため、通気性のあるスチールラックを選んだり、配置を工夫して空気が流れやすい環境を整えると便利です。
オーダーメイドなら、特定の設置スペースやケージ寸法に合わせて調整できるため、レイアウトが組みやすくなります。
大型種飼育の場合、耐荷重は最重要!
大型爬虫類向けのケージは重くなるため、耐荷重をしっかり確認することが大切です。業務用の重量級スチールラックや、建築用鋼材を活用した自作ラックなど、強度を確保しやすいタイプが選ばれることもあります。設置の際は、地震対策など安全面もあわせて検討します。
爬虫類は長期の飼育になることが多いため、将来的なレイアウトやケージサイズの変化も踏まえて、長く使える丈夫なラックを選ぶと管理しやすくなります。

【飼育サイズ別:相性の良いラック素材】
| 小型種・単頭飼育 | 中型種・多頭飼育 | 大型種 |
| メタルラック・木製ラック | スチールラック | 重量級スチールラック・建築用鋼材 |
※製品表示の耐荷重を確認し、できるだけ余裕を持たせて使用します。
飼育環境に合わせて素材を選ぶ!
ケージラックの素材は、飼育する種類や設置環境によって向き不向きがあります。
通気性重視ならメタルラック
メタルラックは通気を確保しやすい構造が多いため、湿度がこもりにくい環境をつくりたい場合に取り入れやすいです。すのこ状の棚板を使うと、さらに空気が通りやすくなります。
ラックを壁から少し離すなど、設置の工夫でも通気が改善しやすくなります。
保温性重視なら木製ラック
木製ラックは金属より外気の影響を受けにくい構造が多く、保温しやすい場合があります。寒さが苦手な種類の飼育では選ばれることがあります。専用ラックでは保温性を意識した構造のものも販売されていますが、通気性もあわせて確認すると安心です。
メタルラックでも断熱材を併用することで、保温しやすい環境づくりが可能です。
水場がある場合は防水素材のもの
水場を設置している場合は、防水性の高い素材や水に強い塗装が施されたラックが扱いやすいです。水滴がついたときは、早めに拭き取ると長持ちしやすくなります。
水分が残り続けるとカビや錆の原因になるため、定期的な掃除とメンテナンスを心がけましょう。
| 通気性重視 | 保温性重視 | 水場がある場合 |
| メタルラック | 木製ラック | 防水性ラック |
飼育用品の収納も考慮!
ケージラックは、下段や側面を収納スペースとして活用できるかも選ぶ際のポイントです。
棚板の高さ調整機能
棚板の高さが調整しやすいタイプなら、飼育用品のサイズやケージの変更にも対応しやすく、長く使えます。
収納ボックスとの相性
ラックに合わせたボックスを使うと整理がしやすく、見た目も整います。通気性のあるボックスを選ぶと、保管中の湿度上昇を抑えられます。
キャスターがあると移動も楽
掃除や配置替えのときに動かしやすいキャスター付きは取り回しが便利です。
地震時に動くことがあるため、ストッパー付きのキャスターを使うか、設置後に固定しておくと安心です。

ラックの主な種類と特徴
①メタルラック:爬虫類用ケージ台として最も人気

簡単で安い
メタルラックは、ポールとワイヤー棚板で構成されたシンプルなラックです。家庭用として広く普及しており、入手しやすい点も魅力です。
組み立てが簡単で、工具が不要な製品も多いのが特徴です。
サイズ展開や棚板の種類が豊富で、カスタマイズしやすく、比較的購入しやすい価格帯で手に入るものが多いです。
参考価格帯(筆者購入時):120×45サイズで1万円前後(購入時期により変わります)。
自由度が高い
メタルラックはパーツの組み合わせでレイアウトを変えやすく、飼育環境やケージサイズに合わせて調整しやすい点がメリットです。ワイヤー棚板は通気性にも優れています。
重いものは載せられない場合がある(耐荷重の確認が必須)
メタルラックはスチールラックより耐荷重が低いモデルも多いため、重いケージを置く場合は耐荷重の確認が必要です。揺れやすい場合は耐震対策も検討します。
ワイヤー棚の上に直接ケージを置くと安定しにくいことがあるため、木材で天板を追加するなど工夫することもあります。
こういうニーズに合う
初心者で気軽に導入したい場合や、小型種の飼育で通気性を重視したい場合、コストを抑えたい場合などに取り入れやすいラックです。

・組み立てが簡単
・比較的リーズナブル
・パーツで自由にカスタマイズ可能
・重いものには不向きな場合あり
・初心者にも取り入れやすい
私のケージラックはルミナスのスチールラック

4年前に初めてフトアゴヒゲトカゲをお迎えした時は1匹だけだったため、最初は床に直置きしていました。冬の時期に床から冷気が伝わってしまい、ケージ内の温度が思うように上がらなくなったため、発泡スチロールを敷いて調整していました。
その後、ケージの置き場所を窓際から部屋の中心へ移動したことで、冷気の影響は減りました。ただ、飼育数が増え、ケア用品も多くなってきたことで床が散らかりやすくなり、ラックを導入することに決めました。
購入したのはスチールラックで、棚板が木製のデザインです。見た目が好みで、部屋にも馴染みやすい点がお気に入りです。サイズは120cm×45cmで、フトアゴヒゲトカゲのケージ(90cm×45cm)に合わせて選びました。
ネットショップで購入しました。
※価格・仕様は購入当時のものです。現行モデルと異なる場合があります。
天板の木の色はナチュラルとブラウンの2種類で、私はナチュラルを選びました。組み立てはシンプルで、2人で作業して15分ほどで組み上がりました。
現在は上段にフトアゴヒゲトカゲの木製ケージ、下段に30cm×30cmのガラスケージを置いてレオパとニシアフを飼育しています。サイズ感も使い勝手も良く、とても重宝しています。
よくある質問(FAQ)〜爬虫類ケージラックに関して多い疑問〜
Q1. ケージラックは何段くらいが使いやすいですか?
飼育数や部屋の天井高によって変わりますが、一般的には2〜3段のラックが扱いやすいとされています。上段は作業がしやすく、下段は掃除がしやすい高さになりやすい配置です。
Q2. メタルラックとスチールラックの違いはありますか?
メタルラックは軽量で通気性が良い一方、スチールラックは耐荷重が高く安定感があります。飼育している爬虫類のサイズやケージの重さに合わせて選ぶと、それぞれの特徴を活かしやすいです。
Q3. キャスター付きラックは使えますか?
掃除やレイアウト変更の際に動かしやすく便利です。地震時などに動く可能性があるため、使用する場合はストッパー付きキャスターを選んだり、固定具を併用すると安定性を高めやすくなります。
まとめ
爬虫類のケージラックは、飼育環境の快適性や作業性に関わる重要なアイテムです。
通気性や温度管理、掃除のしやすさなど、床置きでは得にくいメリットがあります。飼育している種類や飼育数、設置環境に合ったラックを選ぶことで、飼育者にも爬虫類にも使いやすい環境づくりがしやすくなります。
環境・飼育数・耐荷重などを踏まえて選ぶことで、無理なく扱えるレイアウトが整えやすくなります。


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