夏の福岡市動物園では毎年恒例となった「夜の動物園」が開催されます。今回はその特別なナイトイベントに参加してきました。
昼間の動物園とは違い、夜空の下でライトアップされた園内を歩くと、まるで探検に出たような気分になります。この企画は普段見られない夜行性の動物の仕草や表情に触れられる絶好のチャンスで、特に爬虫類好きにはたまらない体験です。
爬虫類舎で出会えた仲間たち(観察レポ)
フィリピンホカケトカゲが活動的だった
爬虫類舎に入って最初に目に入ったのがフィリピンホカケトカゲでした。フィリピンホカケトカゲは想像以上に活発で、水辺と陸地を行き来する姿を何度も見ることができました。
昼間は止まり木でじっとしているため「動かないイメージ」がありますが、夜は別世界。砂利を踏む音が響くと、周囲も思わずざわつくほど存在感が際立っていました。
観察していてわかったのは、彼らが臆病ではなく意外と大胆に動いて環境を確かめているということ。夜に観察できるのは、このイベントならではでした。
ヒョウモンヒゲトカゲの模様は美しい
ヒョウモンヒゲトカゲは、その体に浮かぶ模様がまるでアート作品のように美しく、照明に照らされるたびに色合いが変化しました。
首をかしげてこちらを伺う仕草は、観察者を意識しているのではと錯覚するほど。ゆっくりとした呼吸の動きさえも感じられ、昼間では得られない“生きた存在感”が印象的でした。
ビルマニシキヘビは圧倒的存在感
ビルマニシキヘビはまるで展示室全体を支配するような圧倒的な存在でした。
夜の静けさのなかで、ほんの少し体を動かしただけでも空気が緊張するのを感じます。時折、舌をすっと出して空気を探る仕草は、捕食者としての迫力を強く漂わせていました。
大きな動きではなく、わずかな変化こそが観察の醍醐味だと実感できます。
ビルマホシガメはゆったりとしていた
最後に心を和ませてくれたのはビルマホシガメでした。甲羅に星型の模様がちりばめられ、ライトを浴びるとやわらかく光を反射します。
昼間と同じ落ち着いたペースで歩いていましたが、静寂の中で眺めるその姿は“不変の穏やかさ”を象徴しているように思えました。緊張感の漂うヘビの展示を見た後に出会うことで、より強く癒しを感じられました。
夜の動物園を歩いて気づいたこと
爬虫類舎をじっくり見て回って感じたのは、昼の動物園とは歩き方を少し変えると観察がもっと楽しくなるということでした。
暗さに目を慣らすと見え方が変わる
夜の動物園では観察する側の工夫も重要です。園内に入った後はまずスマホを見ずに、数分間かけて目を暗さに慣らすこと。すると小さな動きまで捉えやすくなります。
人が多いときは少し待つのが正解
人気展示は混雑しますが焦らず待つと、人の流れが切れてじっくり観察できる瞬間が訪れます。

急がずゆっくりとした気持ちで待つのがおすすめです。
静かに近づくと自然な姿が見られる
爬虫類は物音やライトに敏感なので、余計な音や光は控え、静かに近づくのがコツ。立ち位置を少し変えるだけで鱗の模様や目の奥行きが鮮明になります。

音を出したりライトを当てたりせずそっと近づいて観察しましょう。
ライトの当たり方で表情が変わる
照明の角度によって、鱗の模様や瞳の奥行きの見え方が変わりました。立ち位置を少し変えるだけで全然違う姿に見えるのが面白かったです。

見えにくい時も立ち位置を変えると模様や表情が見えることがあります。
行く前に知っておきたい混雑・料金・駐車場
想像以上の人気で17:30以降は満車アナウンス
私が訪れたのは19:00頃でした。すでに満車で「17:30以降はずっと満車ですよ』という案内を警備の方から受けました。夜のイベントは想像以上に人が集まります。
結局、植物園側の駐車場で30分ほど空くのを待って入庫できました。

狙い目の駐車場:植物園側。
知っている人が少なく、比較的空いていることが多いので、まずはそちらをチェック。
入園料・駐車場は昼間と同じ
駐車場:1回 500円
並び方のコツ
人気のケージは列の内側より外側で待機がおすすめ。横から“斜めのぞき”で穴場の視界が開けることがあります。
どんな人と行っても楽しめる夜の動物園
私自身はひとりでじっくり観察するタイプですが、園内を歩いていると家族連れやカップルも多く、それぞれの楽しみ方があるんだろうなと感じました。
家族連れの場合
子ども連れの方は、全部の展示を回るよりも「気に入った水槽をじっくり見る」スタイルが楽しそうでした。実際、子どもがトカゲに夢中になってなかなか動かない場面も多く見かけました。
焦らずに時間を決めて観察させると満足度が高いのかもしれません。
カップルの場合
カップルで来ている人たちは、ライトアップされた小道を散歩しながら、ゆったりしたペースで展示を見ていました。
爬虫類舎でも「混雑が落ち着くまで横で話しながら待つ」姿が印象的で、余裕のある回り方ができると楽しめると感じました。最後にビルマホシガメを見ながら「かわいいね」と話している姿は、とても穏やかな時間に見えました。
私自身は爬虫類を中心に観察しましたが、誰と行くかによって過ごし方も雰囲気も変わるのが夜の動物園の魅力だと思います。
行ってみて分かった小さな工夫
夜の動物園を歩いていて、「こうしておけばよかった」「これは必要なかったな」と感じたことがいくつかありました。初めて行く人に参考になればと思って書いておきます。
ライトは基本いらない
足元が暗い場所もありましたが、展示を照らす必要はまったくありませんでした。スマホのライトを外向けに一瞬だけ使えば十分で、むしろ周囲に配慮して光は控えた方が落ち着いて観察できます。
混雑したら焦らず待つ
爬虫類舎は人気があり、特に大きなヘビやトカゲの前では子ども連れが集まって混雑していました。そんな時は少し離れて待ってみると、不思議と数分で人の波が引いて、前の方でゆっくり見られるタイミングがありました。
写真は角度が大事
写真を撮るときはガラスの反射が気になりますが、真正面ではなく少し斜めから構えると模様や瞳の奥行きまで写りやすいです。もちろんフラッシュは使えないので、光の入り方を工夫すると雰囲気のある写真が撮れました。
爬虫類以外で印象に残った夜の動物たち
カバの食事タイム
爬虫類舎を出て少し歩いたところで、ちょうどカバが食事をしている場面に出会いました。大きな口を開けて餌を食べる姿は迫力満点で、夜だからこそ聞こえる咀嚼の音がリアルでした。
昼間よりも活発に動いているように見え、夜行性の一面を垣間見た気がしました。
ナイトプールで泳ぐペンギン
さらに進むと、ペンギンたちがプールを気持ちよさそうに泳いでいました。このエリアは昨年、改装されていて、ペンギンの泳ぐ姿がいろいろな角度から見れて子どもたちも喜んでいました。
夜のライトに照らされて水面がきらめき、水の中をすいすい泳ぐペンギンたちの姿や陸に上がって整列する姿はとても可愛かったです。
ペンギンの羽はオールだという解説にも見入ってしまいました。こういった動物の豆知識が知れるのも動物園ならではでおもしろかったです。
ぞうエリアがリニューアルされてました
ミャンマーから昨年、来園したゾウが見れました。7年ぶりに福岡市動物園にゾウがやってきたということで、一番賑わっていました。私も久しぶりにゾウが見れたので嬉しかったです。
にぎやかなキッチンカーエリア
動物だけでなく、園内にはたくさんのキッチンカーも並んでいて、夜のイベントらしいにぎわいを感じました。焼きそばやかき氷、唐揚げなどの定番から、ちょっと変わったスイーツまで揃っていて、どれを食べようか迷うのも楽しみのひとつです。
動物の観察だけでなく「食べる・雰囲気を楽しむ」という要素も夜の動物園の魅力だと感じました。
マナーと安全のために
夜の動物園は雰囲気が特別なぶん、観察のマナーも大切です。自分も含めて「これを守ればみんなが気持ちよく過ごせる」と感じたことを書いておきます。
ガラス面を叩かない・貼りつかない
見せたい気持ちでつい近づきたくなりますが、動物が驚いてしまうことがあります。静かに見守るのが一番です。
走らない、ベビーカーは速度ゆっくり
夜は足元が暗い場所もあり、小さな段差でつまずくことも。落ち着いて歩くと安心です。
食べ物・飲み物はルールに従う
園内で飲食できる場所は決まっています。キッチンカーで買ったものも、その場で楽しむのが安心です。
写真はフラッシュ禁止・場所取りは控えめに
フラッシュは動物にストレスを与えます。写真は自然光で、観察スペースは譲り合いながら使いましょう。
- ガラス面を叩かない・貼りつかない
- 走らない、ベビーカーは**速度ゆっくり
- 食べ物・飲み物の扱いはルールに従う
- 写真はフラッシュ禁止、長時間の場所取りは避けて譲り合いを
夜の動物園は特別なイベントだからこそ、ちょっとした配慮で全員が心地よく過ごせると感じました。
まとめ:夜の爬虫類は“音のないドラマ”だった
福岡市動物園の「夜の動物園」は、昼間とは全く異なる体験を与えてくれる特別な時間でした。
フィリピンホカケトカゲの力強い足取り、ヒョウモンヒゲトカゲの美しい模様のきらめき、ビルマニシキヘビの緊張感ある仕草、そしてビルマホシガメの穏やかさ――
それぞれが夜という舞台で際立って見えました。爬虫類だけでなく、カバやペンギン、さらにはリニューアルされたゾウエリアなど見どころは多彩で、誰と訪れても楽しめるイベントです。夜の静けさに包まれた動物たちとの時間は、まさに「音のないドラマ」でした。
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